薫衣香と衣更え①


春たけなわの4月、昔の歴(旧暦)では夏に入ります。

古来、宮中では4月1日が衣替えの日とされました。

気分も新たに夏の衣に着替え、過ぎた季節の着物は

手入れをして大切にしまう、その時「香」が必需品とされました。

その「香」は香木や芳香と薬効のある漢方生薬を刻み合わせ

布袋に入れたもので、着物と一緒にたたんでしまいます。

すると、次の季節が来るまでの間に、芳香がしっかりと着物に

移すと同時に、大切な布地を食べる虫を防ぐ機能があります。

使われている香原料には虫の忌避効果というものがあることを

昔の人は知っていました。

天然香料で作った防虫香で「えび香」(衣被香とも書きます)と

呼ばれていました。

平城京の聖武天皇ゆかりの貴重な品々「正倉院御物」の中に

この「えび香」もあり、実際使われていた様子がわかります。


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